白鳥の旅立ち
2015年2月24日
時は2月下旬。雪の降る量も少なくなり、田んぼにもあぜ道が見えてきました。
雪深い下田にも、ようやく春の足音が近づいてまいりました。
今回は間もなく北に旅立つ白鳥たちに会いに、いすゞ製作所の近くを散策してみました。
車を運転すること5分、すぐに白鳥たちの群れを見つけることができました。
数にして50羽ほどでしょうか?人に慣れているのか、私が近づいても怖がることなく冬の田んぼを優雅に泳いでいます。
その中にも、少しおっかなびっくりしている白鳥がいました。
まだ完全に、毛が白く生え変わっていない、若い白鳥です。
白鳥たちはこの時期になると北の故郷に帰ります。若い白鳥たちは初めての帰郷のために繰り返し、繰り返し飛ぶ練習を行います。
親鳥はそんな子供たちを、静かに見守っていました。
その姿はまるで人間の親子と同じに見えました。白鳥は人間とは違い「言葉」というコミュニケーションツールを持ちません。
ですが、白鳥の親子を見ていると「言葉」を交わさなくとも通じ合っているように見えます。もしかしたら、私たち人間は「言葉」に頼りすぎているのかもしれません。
外国に旅行したとき言葉が通じなくても、現地の方と分かり合える瞬間があります。それは人間が白鳥と同じ、動物だからではないでしょうか。
話は少し変わりますが、宮崎県の幸島に生息している猿の群れは芋を海岸で洗って食べる習性があるそうです。
一見、人間のような行動をしているように見えますが、その群れはボス猿も母猿も子供の猿もみんなで餌を洗って食べています。
その不思議な習性に興味を持ち、研究した京都大学の今西綿司氏と伊谷純一郎氏は「人間以外の動物にも文化がある」と結論付けました。
生態にまだ謎の多い白鳥ですが、人間と同じように家族を形成し、そこには文化があるのではないか、と感じました。
今年も白鳥たちの群れは、下田から旅立っていきます。今はまだ、頼りなく、飛び方も拙い若鳥たちが来年は立派になって下田に帰ってくることを期待して、筆を置かせてて頂きます。